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ドクター 02 そこは犬で溢れていた 犬種は様々で、どこにでもいるような雑種から血統書付きの高級種、果てはどうも狼っぽいものやどう見ても人面犬といった代物まで 広いスペースにケージの類は無かったが、雑然と散らかしているような事はなく、トイレや寝床といったスペースはきちんと整えられており、むしろ動物の住処とは思えないほど整然としていた 気ままに吠え、眠り、遊びまわる犬達 そこへ磨き上げられたフローリングを叩く靴音が近付いてくる 「総員、傾注!」 肉声でありながらスピーカーでも通しているかのような大きくよく通る声に、犬達は一斉に顔を上げ集合し整列までして『お座り』の体勢を取る その統制の取れた動きに男は背筋を伸ばし咳払いを一つすると――その厳しい顔付きを一変させ、笑顔を浮かべ一匹一匹を抱きすくめ撫で回す 「ああお前達は本当に良い子だな。安心したまえ、私がいる限りお前達の生活と安全と自由はきっと保障しよう。良き飼い主が見つかるまで存分に堪能するのだぞ」 頭やお腹を撫で、お手、おかわり、伏せ等々の芸一つ一つを賞賛し、個々に合わせた餌を配膳していく 都市伝説組織『第三帝国』日本支部こと、犬専門ペットショップ『ゲルマニア』 ヒトラーのそっくりさんと近所で評判の気のいい店主が、そっくりさんを通り越して本人だという事を知る者はほとんどいないのであった 「総統閣下、相変わらずの息災っぷりに安心を通り越して逆に心配になりました」 「む、ドクターかね。遠路遥々よく来てくれた」 店のドアを開けて入ってくるなりの部下の態度に、総統は全身犬まみれのまま真面目な表情に戻る 「済まんな、あちこち大変な状況ではあるが……南極や南米の私の下よりは研究と実務を進められると思ってな」 「ええ、ここまでの密度で都市伝説が跋扈してる地域は類を見ません。我々の求める都市伝説医学研究にはうってつけかと」 「密度だけではない、その強力さもだ。そしてその濃さと強大さは次々と別の都市伝説を引き寄せる。当然ながらトラブルも多い」 総統はお腹を撫でられ転がっている仔犬に視線を落とす 「私は外様であるし、大きな干渉を行うべきではない。そもそも私が動けば南極や南米の私も呼応し、事態は大事になってしまうからな。武力介入は避け、別方面からの支援アプローチを考えた訳だ」 「なるほど、流石は閣下。感服致しました……個人的かつ大々的に犬と存分に触れ合い愛でる場を守りたい保守的行動でなかった事を心から安堵します」 その言葉に、ああうんと短く唸り視線を逸らす総統 「ともあれ個人開業という形で診療所を用意してある。当面はそこを拠点としてくれたまえ。必要なものがあれば随時調達しよう」 「御心遣い痛み入ります、閣下。それではこれより任務に移ります」 踵を返し店から出ていこうとしたドクターだったが 「そういえば、こちらの雇った運転手が地元のパトカーとカーチェイスの末にパンツァーファウストをぶち込まれまして。幸い運転手がアレだったので割と無事でしたが。日本の警察は何時からあのような重武装に」 「ああ、何やら何かと物騒な昨今、警察も武装強化が必要だとある警官から個人的に相談を受けてな。町の治安と正義のためにといくらか武器を譲ったのだが」 「なるほど、留意しておきます。失礼致しました」 そう言ってドクターは今度こそ店を後にするのだった 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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「司祭と小鳥と少年」より * ケモノツキ_12_公園のベンチにて 「…ならば、悠司。俺に、この国の都市伝説を、教えてくれないか?」 「え…僕が、ですか?」 「あぁ。迷惑でなければ、だが。」 公園のベンチに並んで腰掛ける、カインと悠司。 カインの瞳が、悠司をじっと見つめる。 悠司は一瞬悩む。 僕なんかが人にものを教えるなんてできるのか、と。 目を伏せながら、カインに言葉を返す。 「迷惑だなんて…むしろ、嬉しいです。」 だが、一瞬で改める。 カインさんは、僕を頼ってくれた。 なら僕は、その気持ちに精一杯答えよう。 悠司は顔を上げ、カインの瞳を見つめながら、言葉をつむぐ。 「僕に出来ることなら、なんでもします。」 「…ありがとう、悠司。」 お礼の言葉と共に、カインは悠司に微笑む。 その微笑につられるように、悠司もまた、微笑んだ。 ・ ・ ・ 「えっと…まずは何から説明したらいいのか…。」 『んなもん適当でいいんだよ。』 『それでも問題ないとは思いますが、危険度や知名度が高いものから…が妥当でしょうか。』 『んーっと、町中で遭遇する奴で危険度No.1っていえば…兄貴?』 『……否定できませんね。』 あれは色々な意味で危険だ。色々な意味で危険だ。 悠司自身は「色々な意味」については理解していないが、危険な都市伝説だということは把握している。 「じゃあまずは、危険度が高くて遭遇しやすい、「兄貴」という都市伝説を。」 「アニキ?Brotherのアニキか?」 「名前のいわれはちょっと僕にはわからないです…。ただ、そう呼ばれているので。」 「いや、気にする必要はない。その「アニキ」は、何が危険なんだ?」 「えっと、まず、筋力がとても強いです。それと、ピンクのオーラみたいなものを出してパワーアップする…とも聞いています。」 「ピンクのオーラ…東洋に語られる”気”のようなものか。」 「詳しくはわかってないんですが、似たようなものらしいです。」 「なるほど、気をつけるとしよう。その「アニキ」はどのような姿をしてるんだ?」 「あ、すみません。見た目は体の大きいボディービルダーで…服を脱いでることが、多いです。」 「…この町では、ピンクに光るボディービルダーが裸で町中を歩いているのか?」 「え、えっと、アレは特例というかなんというか…。」 どう説明したものかと、しどろもどろになる悠司。 このままでは、学校町に対して間違った印象を持たれかねない。 ――――あながち間違っているともいえないが。 『あいつらは変態だから仕方ないよねー。』 「あいつらは変態なので仕方な……あっ。」 「ヘンタイ?それはどういうものだ、悠司?」 「あ、う…えーっと……。」 再びしどろもどろになる悠司。 『主、話題を変えましょう。他の情報を。』 「そ、それより、危険な理由がもう一つあって!主に…というか9割以上、男性しか襲わないらしいです。なので、本当に気をつけてください。」 「なるほど、男しか襲わない裸のボディービルダーで、ヘンタイか…。」 「最後のは忘れてくださいっ!?」 『おい、お前のせいで変な言葉覚えてんぞ。』 『ま、まぁいいじゃない。いぶんかこーりゅーって大事よ?』 『変態を文化としてとらえるのはどうかと思いますが…。』 「凄く…やっちゃいけないことをしてしまったような気が…。」 うなだれて頭を抱える悠司を、不思議そうに見つめるカイン。 「…落ち込んでるようだが、俺が何かしたのだろうか?」 「い、いえ!カインさんは何も!僕が迂闊だったといいますか…事故といいますか…。」 「そうか…。何があったのか知らないが、俺は何も気にしてないぞ。」 むしろ気にされたら申し訳なさすぎます! と心の中で叫びつつ、変態という言葉を忘れてくれるよう全力で祈る悠司。 「…それより、この町には他にも多くの都市伝説がいるのだろう?続けてくれると、ありがたいのだが…。」 「は、はい!すみません!」 そうだ、当初の目的を忘れちゃいけない。 たとえ変態という言葉を覚えてしまったとしても、それで警戒心が強まるなら、なんら問題はないのだ。 と、自分を無理矢理納得させ、顔を上げて再びカインに向き直る。 「えっと、有名で目撃件数が多いものから…で、いいですか?」 「ああ、悠司のやりやすい方法でかまわない。」 「ありがとうございます。じゃあ、一番目撃件数が多い「口裂け女」という都市伝説から…。見た目は赤い服で……」 ・ ・ ・ 公園のベンチに並んで語り合う、カインと悠司。 その光景を、金の瞳をした小鳥が近くの木の上からじっと見つめていたが、 悠司がその視線に気付くことは、なかった。 【ケモノツキ_12_公園のベンチにて】 終 「続・司祭と小鳥と少年」へ続く 前ページ次ページ連載 - ケモノツキ
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GALLERY ソニータイマー OFFLINE MODE これまでのお話 STAGE 1 ソニータイマー STAGE 2 部活 STAGE 3 チョコレートは明治 STAGE 4 通りゃんせ STAGE 6 不幸と病弱 STAGE 7 妬ましい STAGE 8 ポケットモンスター シティ レジェンド STAGE 9 口裂け女のスランプ STAGE 10 電化製品は叩けば直る STAGE 11 血液型性格診断 STAGE 12 ゲーム研究部の活動 EXTRA STAGE 新聞部の活動 STAGE 13 エス○ークを5ターン以内に倒すと仲間になる STAGE 14 通りゃんせの相棒 STAGE 15 私は誰でしょう? STAGE 16 足売り婆さん STAGE 17 声優の重要性 STAGE 18 彼女居ない暦500年越え ONLINE MODE 悪魔の囁き&コークロア騒動編 リア充皆いなくなればいい 新聞部の活動2 ゲーマー3兄妹とカイザーの契約者 黒いキューピー人形 非リア充達の嫉妬 嫉妬少年のその後 二次元研究部 擬人化と魔改造 引き篭もり魔法使いの外出 新聞部の活動3 任天堂寺の決意 坊池一人との戦闘 嫉妬少年と悪魔の囁き OFFLINE MODE これまでのお話2 STAGE 1 物欲センサー STAGE 七つの大罪 STAGE マンホールの上で… STAGE ヘンゼルとグレーテル STAGE 夢見る兄妹 STAGE 走る走る STAGE 羨ましいな STAGE 新聞部の活動4 STAGE 不幸と疾風の文化祭 STAGE ヘビイチゴには毒がある STAGE 三竦み STAGE 不幸の一日 STAGE unluckyHelooween STAGE 食の力 STAGE 才能を求める者 STAGE シャボン玉 STAGE とある化学の都市伝説(フォークロア STAGE 共鳴した者共の集い(エコーズ・メンバーズ・ミーティング) STAGE 甘い香りのするケーキの絵 STAGE 3月14日 STAGE 嘘吐き(マイナス)と不幸(マイナス)の不運(マイナス)な出会い STAGE 死体からダイヤモンド STAGE 変態という名の淑女 STAGE 水晶髑髏 STAGE 久しぶりに遊戯王ネタスレ投下時、魔轟神レヴュアタンのシンクロ素材のレベルが足りないとの指摘があったため、辻褄を合わせるため若干内容を変更しております STAGE デュエルの後に STAGE 地獄の沙汰も STAGE 明日から本気出す STAGE ソロモンの指輪 STAGE 食べて食べて食べまくれ STAGE 規格外の破壊力 STAGE 水晶髑髏と邪気殺し STAGE 恐怖の美術館 STAGE 任天堂寺と注射男 STAGE 全てプラズマで説明できる STAGE 母は強し…いや、私は母じゃないけど STAGE 鷽月頼也、その過負荷(マイナス) STAGE 赤い糸? 緑の炎で焼き切ってあげるよ STAGE 初めての発見 STAGE ニコ厨とねらー STAGE 死亡フラグのさしすせそ『す』 STAGE 戦う漫画家達 STAGE ミイラ兄妹 STAGE 新聞部の活動6 EXTRA STAGE 守りの力と七不思議 STAGE 生まれたてのfolklore STAGE なりきりセット STAGE これは正当防衛です STAGE 氷肌玉骨にして熱血の少女 STAGE 子供の頃傘持ってジャンプとかしたよね STAGE ジャンクフードジャンキー 2PLAY MODE ロリコンとロリコンの邂逅 ONLINE MODE CoA編 ゲーム研究部とゲーマー三兄妹+αのCoA 引きこもり魔法使い達もCoAを始めるようです 新聞部の活動5 ゲーム研究部達のCoA…ってかなり久しぶりだな ONLINE MODE 世界滅亡編 EXTRA STAGE 守りの力と七不思議 STAGE 勝利 STAGE 万有引力 STAGE 百合夫婦 STAGE アイギスと炎の七不思議 3つ目の水晶髑髏~桃色の水晶髑髏~ Mini GAME バレンタインデーなんて都市伝説だよね ホワイトデーには3倍返しとか言うけど、0を何倍したって0にしかならない たまには息抜きを クリスマス撲滅の会 バレンタインデー中止のお知らせ ONLINE Mini GAME 皆でお花見編 色々ともう遅い この世界ではまだ五月 EXTRA STAGE 新聞部の活動シリーズ 第一号新聞部の活動2 第二号新聞部の活動3 第三号新聞部の活動4 第四号新聞部の活動5 第五号新聞部の活動6 EXTRA STAGE アイギスと七不思議シリーズ 守りの力と七不思議 アイギスと炎の七不思議 [[]] ページ最上部へ
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【陛下と僕と獣の数字 第六話】 「鷲山くん、今度一緒に遊びにいかないか」 「え?」 「この前のお礼も兼ねてだ!」 「ああ……」 そんな感じで事件の有った翌日、陛下はさっそく九郎に接触していた。 僕の都合は特に考えていない辺りがまた泣けるぜ。 「俺だって、解ったのか」 「私の眼力の前では仮面なぞ無意味故、しかし中々洒落たデザインだったな」 「ふぅん……まあ良いぜ、契約者同士話は有るだろうしな。場所は……」 うーん、完全に僕の存在は無視ですか。 「無論、私はセージを連れてくるし貴様はあの少女を連れてくるのだぞ 場所は街の北側にある遊園地が良いな、ダブルデートという形式にしておこう セージはあれで遊園地が好きだしな」 クラウディアちゃん愛してる。 マジチュッチュ、ディアちゃんマジディアディア。 でも僕が好きなのは遊園地じゃなくて油淋鶏だ。 食べ物だ、場所じゃない。話し聞いてなかっただろお前。 「あ、ああ……それなら一応了解とってから返事とさせてもらおうか」 若干困ったような表情をする九郎。 そりゃあそうだ、同級生がそんなメルヘンな趣味持っているなんて聞かされたらドンびくわ。 「うむ、それでは色よい返事を待っているぞ!」 そういって陛下は僕を連れて教室を出ていった。 「クラウディア、なんでわざわざ彼らに接触を?」 「うむ、あの九郎という男はまあ善人というか常識人というか、良きにつけ悪しきにつけ筋の通った気分の良い男だ しかし奴の側に居るあの女を見定めねば少々危険に思われてな」 「あー、あのちっちゃい子」 「そうだ、恐らくあれが九郎を蘇生させた都市伝説だろう」 「まだ死んだとも決まった訳じゃないのに……」 「いいや、私の直感が正しければ間違いなくあれは一度死んでいる そして私の直感は八割方当たる」 「ふぅん……じゃあ良いけど」 家に続く帰り道。 商店街にはまだあちこちに昨日の事件の爪痕が刻まれていた。 警察が忙しく歩き回っている中に黒服の人達も混じっている。 おそらくは組織の人間だろう。 「ひどいことになったものだな」 「一体なんだったんだろうね、あの這いよる混沌ってのは」 「詳しくは分からぬが……少なくとも邪悪な意思を以てこの街に顕現した都市伝説ではあろうな あれは早々に打ち倒さねばならないだろう」 「できるの?」 「余の辞書に不可能の文字はない」 「一人じゃあきついだろうに」 「一人なものか、セージよ。貴様が居るではないか」 「そう言われると照れるなあ」 「まあとにかく共通の敵を持つ九郎達が私たちにとっては何者なのかをはっきりさせておきたいのだ」 「なるほどね」 「そういうわけで、明日は遊ぶぞ。セージ」 「本来の目的は!?」 「ハハッ、自ずと知れてこよう」 しばらく話していると家の前に到着。 今日の帰り道は平和でなにより。 「ただいま帰りました母上殿」 「ただいまー」 「お帰りなさい、クラウディアちゃんにお手紙来ているわよ」 「おおなんと、国のものからでしょうか」 「ええ、伯爵様からみたい」 「ありがとうございます」 陛下は部屋に戻ってから手紙の封を開けて中身を読む。 「ふむ、奴の過保護ぶりには呆れてしまうな 幾ら父上から念入りに頼まれていたとはいえ何もそこまで」 「なんて書いてあるんだい?」 「うむ、最近この街に教会とは関係のない危険な都市伝説が紛れ込んでいるとのことだ 教会の奴らがまるで危険みたいな口ぶりなのだからこれが笑えてしょうがない 恐らく昨日の男もその危険な都市伝説関連だと見るべきだろうな」 いや、充分危険だと思います。 「奴らの神でも引っ張り出さない限り相性で勝てないものを延々と襲ってくるのだから愚かにも程があろう」 「あははは……」 やっべええええ、リアクション困るうううう! 「で、その危険な都市伝説って?」 「神様、邪神の類だそうだ、もはや都市伝説って騒ぎじゃないと思うのだがな」 ツッコミを待っているのだろうかこの少女は 「そうだな」 だからって突っ込むと思うなよ! あーでもクラウディアちゃんになら突っ込まれても構わないよ! ふはははは!男のくせにずいぶんと情けない声をあげるのだな!とか言われて口では言えないあんなことやこんなことをされるのも吝かではないよ! ちなみに本来はやぶさかじゃなくてやふさがだったらしいね! でも今では廃れた言い方だしやっぱり吝かでいいよね! 「で、奴らは私に好意を抱いているのだそうだ」 「好意?」 「そうだ、まあ碌でもない奴らに人気が出てしまうのも私の美貌と知性、そしてカリスマ故 それは特別に許してやるとしよう」 「でも厄介だな」 「何故だ?」 「触らぬ神に祟り無し、って知ってる?」 「ああ」 「好かれているということは向こうから接触を求めてくる可能性が有るってことだ」 「向こうから触ってくる上に祟りのある神か」 「そゆこと」 「厄介だな」 「そうなると……やはり同じ敵を相手にしている鷲山との連携は大事かもな」 「いや、それについても手紙があってな」 「え?」 「鷲山九郎はその邪神に乗っ取られている可能性があるのだそうだ」 思い出す、先日の戦いを。 あの禍々しい黒い甲冑を纏って剣を振るっていた姿。 あれが本当に鷲山九郎なのだとしたら……確かに乗っ取られているのかもしれない。 「明日のダブルデートが少々面白くなってきたな」 「面白いなんて言っている場合じゃないんじゃないの?」 「ふん、この私にとって危地こそが揺り籠、悲鳴こそが子守唄 相手が何であろうと私自ら見定めるだけだ」 不敵に笑う陛下。 彼女に引っ張りまわされるのがなんだかんだで楽しみな僕が居ることに僕は気づいていた。 【陛下と僕と獣の数字 第六話 続】 前ページ次ページ連載 - 陛下と僕と獣の数字
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×月○日 今日から、日記でも書いていこうかと思う どうせ私のことだから、三日坊主で終わるか気の向いた時だけ書いていくかどちらかだろう ただ、何となく、始めて見たくなったのだ それを阻止する権限など、誰にも存在しては居ない 何故、始めてみたくなったかと言うと、書き記したいことが今日、二つあったから 良い事と、悪い事 まずは、悪い事から書いていこうと思う 腹が立つことを書いた後に、愉快な事を書いた方が気分的にもいいはずだ 今日、親から今度見合いをしろと言われた 式は卒業式の翌日に予定している、とも言われた どうやら、何度か見合いをさせて、私が高校生の間に結婚相手を決めてしまおうとしているらしい これは何か?私には男を見る目がないと? 家に男を何度も連れ込んだのがそんなに駄目だと言うのか どれもこれも、あの瞬間は愛した男なのだから、問題はないだろうに これだから、旧家と言う奴は何もかもこ煩くて困る 貧乏でもいいから、普通の家に生まれたかった あの親が決める見合い相手だ、どうせ、堅苦しい詰まらない男ばかりだろう 誰が、結婚相手など選んでやるものか 親が連れてくる見合い相手など、全て選んでなどやらない 全て、断り続けてやるのだ さて、良いことを書き始めようか 今日、私は「都市伝説」と言う奴と契約した 都市伝説、そんなものが実在するとは思ってもいなかった だが、それは実在して、しかも人間と契約までしてしまうらしい それに、私はたまたま選ばれたのだ 口裂け女や人面犬みたいな、ちゃちい都市伝説じゃない もっともっと、凄い物だ 多分、この力をもってすれば、様々な悪事を行う事ができるのではないか、と思う だが、私は別に悪事を行うつもりはない じゃあ、この力はどうしようか? 万が一、どうしようもなくなった時、この力に頼ろうと思う 少なくとも、私や、私が護りたいと思ったものを護るくらいはできるはずだ ただ、その為にはちょっと練習が必要だろう 今度から、少しずつ練習しようと思う 生き物で実験するのは残酷だ、石とかそう言う物で実験してみようと思う (ここから一ヶ月以上、記述はない) △月◎日 まいった 親が連れてくる見合い相手なんて、選ぶつもりはなかったのに 今回の男は、どう言う訳か気に入ってしまった そいつも、また堅苦しそうな男だ だが、今までの相手とは、決定的に違う部分があったのだ 今までの男達は、皆、こちらの両親の顔色を窺っている、つまらない男ばかりだった だが、あの男は違った 私の両親の事なんて、多分、踏み台程度にしか思っていない 私のこととて、出世の道具とか見ていないだろう あのふざけた両親の顔色を疑ってこない そして……私のことを、とことん、支配し尽くそうとしてくる相手 面白いじゃあないか 私を支配する? やれるものなら、やってみろ 両親や教師すらさじを投げた私を、支配してみるがいい もし、私を支配し尽くす事ができたならば、私はお前に完全に惚れてやろう 結婚相手、と言うよりは、まるで決闘相手のような感覚 明らかに間違っている方向だとはわかっているが、とにかく、今回の相手は気に入ってしまったのだ 気に入った理由は告げず、ただ気に入ったとだけ告げたら、両親はさっさと結婚の話を進め始めたようだった 速すぎるだろうに、まだ私の卒業まで一年は残ってる あれか、そんなに逃げ道を消したいのか 見合いを持ち込まれまくってる時も男を連れ込んだりしていたのがそんなに気に食わないか 悪いか!!! 人生なんぞ、一生に一度だ とことん楽しまなきゃつまらないだろうに ところで、都市伝説の使い方だが、結構慣れてきた 最近は、飛んでいる虫相手なら、躊躇なく扱えるようになってきた あれよ、あれ 害虫駆除くらいならいいわよね、問題なんてない、うん ただ、それ以上多きな生き物相手、となると、流石に気が咎める 多分、その気になれば人間相手にだって発動できるのだろうけれど… 使う日が来ない事を、祈るばかりだ (ここから、一年以上記述はない) ●月□日 自分の中で、命が育っている感覚 それが、酷くうれしかった あっはっはっはっは!!!ざまぁみろや、両親め!! 見合いとは言えできちゃった結婚だ!! どうだどうだ!お前らの顔にドロをぬってやったぞ!!!! あぁ、もう、傑作傑作 堕ろせとは言わせない これは、私の中で育っている命なのだ 私が産み落とす予定の命なのだ 誰の自由にもさせるものか 籠の中で育てられた私とは違って、この命には自由に生きて欲しいと願っている 私と違って、幸せって奴を感じて生きて欲しいものだ 名前は、もう決めている 旦那になる予定の奴には相談なんてしていない だって、面白味のない名前を提案してきそうだし 男でも、女でも、どっちでも、もう名前は決まっている 翼 だ 翼をもった鳥のように、自由に生きて欲しい その願いを、私はその名前にこめようと思う ところで、今日、初めて人間相手に能力を使った うわ、やっば、わりとグロかった 胎教に影響がでないか、流石にちょっと心配した まぁ、タバコは控えたとは言え酒飲みまくってる女のセリフじゃあないがね!!! でも、あれヤバイわ、まじヤバイ あれ、どうなったんだろう、死んだだろうか いや、正当防衛だけどさ 「他の男の子供できたから別れるわ」って言ったら、こっちを殺してこようとしたんだし それにしても、あいつも都市伝説契約者だったとは あれだ、都市伝説にも能力使ったんだけど……いやー、グロかった ダブルでグロいから、びっくりして逃げ出したわけで、本当、どうなったんだろう あれ、通りすがりの子供が見たら泣く事間違いない …御免、通りすがりの子供 そして、あの辺りのご近所さん 悪いのは、あそこで私に襲い掛かってきた包茎野郎、って事で (ここから、出産日まで記述はない) 前ページ次ページ連載 - 悪意が嘲う
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水上 怜奈(みなかみ れいな) 「ダンタリアン」の契約者。19歳。 外見は小柄で背中が隠れるくらいの茶髪。 両サイドを頭の上で二つに分けて纏めた、いわゆるアスカヘアーで、派手可愛い服装が好み。 ごくシンプル(単純とも言う)な思考の我が道を行くお調子者。 学校町東区の某マンションで一人暮らしをしている。 「ダンタリアン」の「無数の顔」「幻覚を見せる」と云う設定を拡大解釈して、人間はもちろん都市伝説にも「変身」する事が出来る。 バイト先の古本屋の店長には頭が上がらない。 都市伝説「ダンタリアン」 ソロモン72柱の悪魔の一体。「善」「寛大」「善良ゆえの愚鈍」を司る。 無数の老若男女の顔を持ち、右手に本を携えて現れる。 その本には総ての生き物の思考が書かれており、他人の秘密や内心を読みとり知ることが出来る。 また、遠く離れたところにも幻覚を送る能力を持つ。 ページ最上部へ
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それは、中央高校の学園祭最中の事 「ふぅ…」 やれやれ、とため息をつく中央高校教師 自転車で来た訪問客の自転車を整理するという、地味だが体力勝負、なおかつ意外と大事な仕事である ちょっと、一息ついたところ 「高元先生、お疲れ様」 「あ…校長先生」 にこにこと 校舎内を見回っていた出道校長が、声をかけてきた どうぞ、とスポーツ飲料のペットボトルを差し出す 「暑い中、大変でしょう?水分補給はまめにしたほうがいいですよ」 「あ…すみません、ありがとうございます」 いただいます、と 校長の好意に甘える事にした高元 正直、かなり喉が渇いていた ごくごくと喉を鳴らす高元の様子に、校長は笑った 「どうですか?この学校の学園祭は」 「ぷは………噂では聞いていましたが、思っていた以上に賑やかですね」 学園祭の出し物を決める時のクラスの生徒達の様子などから、何となくは感じ取っていたが 当日の熱気は、予想以上だった これは、有名になる訳だ 納得である 「まぁ、勉強勉強ってばっかりじゃ、息が詰まるからね、たまには、はめを外させるのもいいんじゃないかな」 「はは、そうですな……はめを外しすぎるのも、問題ですが」 苦笑する高元 何というか…その 一部、ちょっぴりはめを外しすぎているところも、あるようなないような そんな予感がしないでもないのだ 主に、部活の方の出し物に 「…さて。高元先生も、そろそろ休憩時間でしょう?ご自分のクラスや、他の出し物も見て回ったらどうです?」 「え?…あぁ、もうこんな時間でしたか」 そろそろ、自転車整理は交代の時間だ やってきた他の教師に、後の仕事を任せ 高元はひとまず、自分のクラスの様子を見に行くことにしたのだった 高元の姿を見送り 校長はまた、訪問客や生徒でごった返す校内に入っていく 「…う~ん、やっぱり、契約者や都市伝説も結構来てるな………うわ、この気配、GW中に出現したっていうあれかな?厄介な……」 学校敷地内の都市伝説や契約者の気配を感じ取り、苦笑する校長 …彼は、契約都市伝説の能力により、校舎内ではほぼ、万能なのだ 気配を感じ取るくらいはできる 「大丈夫かな、とは思ったけど…やっぱり、やった方がいいか」 人波に、半ば流されながら しかし、彼は人気のない場所にたどり着き……周囲に、誰も居ないことを確認し こう、口にした 「『校則 第48条 学校敷地内での人死に、及び傷害を禁ずる』」 校長が、そう、口にした直後 中央高校の敷地が……強い、結界で覆われた 誰にも気付かれる事なくさりげなく、しかし、はっきりと 「…これでよし。でも、これ疲れるんだよなぁ」 ふぅ、とため息をつく校長 だが、これで……今日一日、校舎内にて、死人が出ることはない 怪我人が出ることも、ない ……学校敷地内を、完全に、絶対的に支配する それが、彼、出道 桐男が契約とした都市伝説の片方の力 これを破るには、よほど能力の高い者でなければ、不可能だ 「…さて、っと。荒神先生でもからかいに行こうかな」 疲れた体を、引きずって しかし、彼は、某不良教師をからかうと言う命知らずな事をすべく、鼻歌交じりで人波の中に戻っていったのだった 続く予定?ないよ!!! 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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ドクター35 口裂け女 都市伝説の吹き溜まりとでも言うべきこの学校町には、多数の口裂け女が存在している バリエーションも地方差により豊富で、それでいて確固たるイメージがあるせいだろう そして、彼女達の多くは人を襲い傷付け時には死に至らしめ、やがて違う都市伝説と契約した人間と遭遇し――殺される そんな末路が予想される事を、別段疑問には思わなかった 周りは皆そうなのだから、そういうものだと思っていた 時折、他の都市伝説に襲われている人間に契約を持ち掛け、助けようとする同属もいた だが名の知れた、つまり攻撃手段も弱点も知れ渡った都市伝説の力など、たかが知れている そもそも、人間を圧倒する程度の身体能力を持っている程度では、様々な異能を使いこなす他の都市伝説に敵うはずもない この町では、所詮はやられ役でしかないのだ だが、それで生き方が変わる事も無い 薬で殺され、叩き潰されても、血を吸い種を残す蚊のように 人間を脅かし、傷付けて、恐怖と伝承を以って種を残すのが存在意義なのだから だからこそ、彼女はいつもと変わらぬ足取りで歩み 前を歩く男女二人に向かって声を掛ける 「ねえ、そこのお二人さん」 先に振り返ったのは男の方だった まだ若い大学生ぐらいの年齢の男は、マスクとロングコート姿の彼女の姿を見てすぐに警戒の色を浮かべる 「ドクター、返答をしないで下さい。すぐに倒します」 腰に下げていた布袋から、鎖で繋がれた棒状の武器を取り出す男 その節がすぐさま繋ぎ合わされ、一本の長い棍の形になる 戦い慣れている、そう理解できる反応と表情だった 「私、綺麗?」 諦めたわけではない 自棄になったわけではない そもそもそんな感情があるわけではない ただ役目を全うするために 己の存在意義のために 口避け女は、自らの伝説の常套句を告げ 返答をする事なく、微塵の容赦も見せずに攻撃を繰り出した男の一撃が 「待ちたまえ」 女の一言で、身体に触れる寸前で止まった 「女性に問われた以上は返答をせねばなるまい」 「何を言ってるんですかドクター、返答をするのは攻撃のスイッチを入れるようなものです。口裂け女の話ぐらい知っているでしょう?」 「知っているからこそ、ボクには常々言ってやりたい事があるのだ」 女はやや不機嫌そうにそう告げると、つかつかと口裂け女に歩み寄る 「綺麗か、そう聞かれればこう答えよう。綺麗だと」 その言葉に、口裂け女は確固たる反応を持ち合わせている 真っ直ぐに見詰めてくる女の視線に、マスクで隠していた頬が耳まで裂けた口を見せ付け 「これでも綺麗だって言うの?」 「勿論だ! 何故ならボクはこの世に存在するありとあらゆる女性を愛しているからだ! むしろあの世だろうが異次元だろうが女性は全て愛し慈しみ守るべき対象であるとここに宣言しよう!」 即答だった 余りにも素早い解答とアレな内容に、口裂け女の方が一瞬呆気に取られていた だが素顔を見せても綺麗だと答えたのなら、その返答への対応は既に決まっている 「そう……それなら、あなたも同じようにしてあげる!」 口裂け女の手に大振りな鎌と裁ち鋏が現れ、それを女の顔目掛けて振り下ろそうとした、その瞬間 「その傷跡も含めて、それが君の個性だ。全て同じになったらそれは標準であり何の価値も無くなるではないか」 「……は?」 「いやいや標準的な女性もそれはそれで良いものだが、傷跡の一つや二つはアクセントだとボクは思う。それを含めて君という個すべてを愛したいと心の底から思っているのだ」 ぽふ、と音を立てるほどに耳まで裂けた頬を染める口裂け女 「だが……この傷跡が嫌だというのなら、ボクが必ず治そうではないか。都市伝説という存在であるためにアイデンティティを消せないというのなら」 伸ばされた手が背中に回され、優しく、とても優しく抱き締められる 「君を人間にしてでも、必ずその傷跡を消してみせる」 口裂け女の手からは、既に物騒な刃物は消え失せていた 「ボクが君を愛する事にせよ、君を治す事にせよ……それはボクを信じてくれるかどうか、まずはそれからだ」 与えられた役目を果たしていただけの命に、選ぶべき道を示してくれた 外の世界への扉を開いてくれた、そんな気がして 「よろしく、お願いします」 胸が一杯で、それを言うのが精一杯だった そして、それを察するように、よくできましたと言わんばかりに頭を撫でられる 「ところで、その傷に触れてみてもいいかね? 痛みなどがあるなら遠慮しておくが」 「え、いいえ、特に痛みとかはな無いです。元からこういう形みたいなものですから」 「ふむ、それでは」 「へ、あ、ええっ!?」 そっと頬に添えられた手 そして傷跡に触れる唇と舌先の感触 「あ、そんなっ、はわっ、わ!?」 上擦った声が漏れる口裂け女 そんな状況を察して、男は視線を逸らし 「適当な頃合に迎えに来るよう、運転手に連絡をしておきます」 呆れたようにその場を立ち去る男と、軽く片手を振って見送る女 「さ……君の全てを見せて欲しい。いいだろう?」 「え、で、でもこんな道端で、あっ、んぅっ!」 口裂け女が都市伝説としての存在が故に、第三者をあまり寄せ付けないようにする人払いの力が自然と漏れ出していた それが幸運だったのか不運だったのかは、当事者の判断に任せるとして 迎えが現れる頃には既に都市伝説としての存在以前に、一人の女としてべったりと身を寄せている口裂け女の姿がそこにはあったのだった ――― 「彼女にミツキと名前を付けたのは君だったな」 「まあ日本生まれの存在ですし、日本名の方が似合うと思っただけです」 休憩時間に、口裂け女のミツキが淹れたお茶を啜りながら、のんびりと昔語りをするドクター バイトちゃんもまた、当時を思い出しながら適当に相槌を打つ 「ん、私はこの名前は気に入ってるよ。でもさ、遭遇した時は殺る気満々だったのにね」 「そっちだってそうだったじゃないですか」 顔を見合わせて苦笑を浮かべあうミツキとバイトちゃん 「むしろ、メアリーとの初顔合わせの時が一番大事だった気がします」 「あはは、あの頃は若かったわねー」 「まだ一年も経ってませんけどね」 誤魔化すように笑うメアリーと、冷静に突っ込むバイトちゃん 「浮気だの契約者を取られるだの、マジ泣きして大騒ぎだったじゃないですか」 「私も、ドクターに契約者がいるとは思ってなかったものねー」 のんびりと煎餅を齧りながら、思い出し笑いをするミツキ 「結局はドクターに説得されて二人とも落ち着いたみたいですけど。何を言われたんですか」 「それは……ねぇ?」 「ドクターの全力がどれぐらいか、思い知らされたというか」 真っ赤になって視線を逸らす、メアリーとミツキ 「まあ、なんとなく何があったかは想定してましたからその反応も納得ですが」 諦めたように溜息を吐くバイトちゃん その傍らで、煎餅を食みながらちょこんと座っているエニグマ姉妹 「ドクターは何処に行っても変わらないでありますな」 「女性の為なら命知らず過ぎます」 二人の言葉に、バイトちゃんは軽く溜息を吐く 「ついこないだも、ホルマリンプールやら亡者の血の池やらに飛び込んで、色々無茶をしでかしたばかりですし」 「ははは、それは君のせいだと理解した上での発言かね?」 「俺の為だとか言って無茶されるのが怖いって言ってるんですよ……というか鉄砲玉の護衛役を逆に庇ってどうするんですか。いつかあっさり死にますよ?」 「ボクは死なんよ、この世に女性がいる限りな」 「どこまで本気かわかりません。というかそれ人類が滅亡するまで死なないって事ですか」 「ボクは常に本気だとも。さて、そろそろ午後の診療受付を始めるぞ」 ドクターがぱんぱんと手を叩くと、それぞれがてきぱきと動きお茶の片付けをして診療所のあちこちに散っていく 一時の慌しい平和を楽しむために いつかまた訪れるトラブルに挑む英気を養うために 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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そして… 疾風「あれ? 新聞?」 新聞部が書いた新聞を手に取り、悪魔の囁きの記事を見る疾風 疾風「悪魔の囁きの本体が倒された…? なるほど。と言うことは他の悪魔の囁きも消えるはず…だよね?」 後ろを見て、 疾風「なのになんでお前は生き残ってるんだよ…」 『知ルカヨ、ソンナン』 疾風に取り憑いていた悪魔の囁きはどういうわけか消えていなかった 「貴方の嫉妬心が強すぎたせいじゃない…?」 ちなみに疾風は悪魔の囁き騒動の最中、新たな都市伝説と契約していた それは『宇治の橋姫』。嫉妬深いことで有名な妖怪である 疾風「なるほどね…。それじゃあ、悪魔の囁きが巨大な海蛇と竜が合わさった生き物みたいになってるのも そのせいなのか…?」 彼に取り憑いていた悪魔の囁きは、彼の強すぎる嫉妬心と『宇治の橋姫』が集めた嫉妬心を食べ、 成長して別の都市伝説に変わっていた。『レヴィアタン』。七つの大罪において、嫉妬を司るとされる悪魔だ 『アー、ソウイウコトカ。ツマリ俺ハ悪魔ノ囁キカラ正真正銘ノ悪魔ニ進化シタワケダ』 疾風「まあ、悪魔の囁きが倒されても僕のすることは変わらない…。滅びろカップルども…ああ、妬ましい」 早速人前でイチャついているカップルを見つける疾風たち 疾風「…人前でイチャつきやがって、妬ましい…! 爆発しろ!」 「本当妬ましいわね…」カツーン、カツーン 疾風がカップルの座っているベンチを爆破し宇治の橋姫が呪いをかける 疾風「くくくくく…いい気味だ…。滅びてしまえばいい…!」 「カップルなんて要らない…。妬ましいだけ…」 『俺ノ出ル幕ネェナ…』 坊池一人が倒されても、カップルは『リア充爆発しろ』の被害にあうのだ。死にはしないが 疾風「今日はそんなにカップルが多くないみたいだね…良かった良かった」 「坊池一人とか言う人が暴れまわったからでしょうね…。平和が一番だわ」 『頼ムカラ無視シナイデクレ…』 疾風「いや、だって流石にお前を召喚したら目立つだろ…」 『ソウカ…ソウダヨナ…』 疾風「まあ、他の都市伝説に襲われたらお願いするかもしれないけどね」 『ソレマデオ預ケッテコトカ…』 疾風「そういうこと」 こうして、疾風のリア充狩りはますますエスカレートしていくのであった… 続く…
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ぽ~ん ぽ~ん、と飛び跳ねるビーチボール 「ほらっ、望」 「OKっ!」 ばしっ!! 友美がトスしたボールをアタックする望 飛んでいったビーチボールを 「ちゅーーー!」 ばしぃっ!! 「ノロイが返したっ!?」 「どこまでハツカネズミを超越し続ける気、ノロイ!?」 「ちゅっちゅー」 ノロイが、水面からジャンプして返した 本当に、どこまでもハツカネズミを越えている これでいて、まだ完全に都市伝説化していないと言うのだから不思議である 「うー!滝夜叉、ボールこっち来たー」 「ふん、任せるが良い」 飛んできたビーチボール うーうー言う幸太に、滝夜叉はそう答え っぽん!! 出現した大髑髏が、ボールを返す!! 「アウトー」 「何故じゃ?」 「いやいや、滝夜叉様。ちょうど一般人の人目がなかったからさておき、そうじゃなかったら見られたらヤバイから」 詩織と望の突っ込みに、首をかしげる滝夜叉 やはり、彼女も将門の娘と言うべきか 微妙に大雑把で困る あぁ、向こうで裂邪達が、突然出現した髑髏に驚いている驚いている ま、都市伝説関係者だとバレているらしいから、いいか 一応、敵でもないようだし そう判断した望 滝夜叉(の、髑髏)が返して、誰にも触れられずプールに落ちたビーチボールを回収しようとして 「-----------!!」 ぞくり 迫る気配に、気づいた 「望?どうし…」 迫る気配に対し 望は慌てず騒がず、手身近に居た詩織を引っつかみ 「詩織バリアー!!」 「っちょ!?」 迫る気配に対し、詩織を盾にする!!! 直後 水の流れが、速くなって すぽーーーーーん!! 「へ?」 詩織が着ていた、ワンピースタイプの、水着が どうやってか脱げて、プールの流れに持っていかれる!!! 「ご、ご主人様、見ちゃ駄目ですっ!!」 っば!!と、ミナワが慌てて裂邪の目を塞いでいる声が聞こえてきた 詩織は、水着が脱げただけで…ひとまず、肉体的被害はなさそうである 「何、どうしたの!?」 「…水の中、何かいる!」 友美の言葉に、そう答える望 水の中に、何か……都市伝説が、いて それが、詩織の水着を剥ぎ取ったのだ 「うー………いる、いる……一人じゃない、うーうー!!」 幸太も、何か感じ取ったのだろう 滝夜叉にくっつき、うーうー言い出す 「…とにかく、バリアは有限だから。慎重に扱わないとね」 「と、言いながら、なんで私を掴むの!?」 引っつかんだ友美が何か言ってくるが、気にしない とにかく、水着を剥かれないよう、気をつけないと……… 「望!?」 「どうした!?何があった!?」 と 騒ぎを聞きつけたのか、大樹達が駆けつけた ……って ざぱっ!! 「うぉっ!?」 「翼は見るなっ!?」 自分の裸じゃなくて、詩織の裸だけど 自分と同じ体型なのだから、自分が見られているようで恥ずかしいっ!? 大樹には、いくらでも見られていいし、虎吉は何かもうどうでもいいけどっ!? 「詩織ちゃん、ほら、タオル!」 「ありがと、虎吉さん……ノロイ、水着お願い!」 「ちゅちゅー!」 ばっちゃばっちゃばっちゃ クロールで泳いでいくノロイを見送りながら、望は警戒を続ける すぅ、すぅ、と 水の中で蠢く、何か 明らかに、都市伝説の気配 「……誰よ、出てきなさい!」 果敢に、叫ぶ望 すると 『----くっくっく』 『くすくすくすくすくすくす……』 『見つかった?見つかった?』 『まぁ、ここまで派手にやればなぁ』 聞こえてきた、複数の声 …複数? そう言えば、幸太が「一人じゃない」と言ったよう、な…… ざぱんっ!!と 水から姿を現した、それ …それは、水、そのものに見えた 水そのものが………人の形を、とっている それが、4体 水から姿を現し、半ば水と同化した状態で、はっきりとした異形が現れる 「水関係の都市伝説……?………いえ、その実体がはっきりしない気配、プールに出現したところから……「プールの排水溝に吸い込まれて死んだ子供の幽霊が、新たな被害者を生み出す」と言う系列、ですか?」 現れた異形を見据えながら、大樹がそう発言する くすくすくす 異形達が笑う 『あぁ、バレた?バレた?』 『そこまで推理できるもんなんだね』 『そうだよ、僕らはそう言う都市伝説』 『でも、心配しないで、僕らは人間殺さない』 楽しげに、動く異形 人形でありながら、不定形に姿を変え続けるそれは、幻想的であると同時に、酷く不気味だ 『だって、人間を殺したら、「組織」とかに目をつけられるから』 『だから、殺さない』 『でも、僕らの本能は、何かを吸い寄せたくなる』 『でも、人間を排水溝に吸い込んだら死んでしまうしね』 だから、と 4体の異形が、不気味に、不気味に……笑った 『よって!!僕らは、女性の水着を剥く事にした!!!』 『目の保養にもなっていいよね!』 『巨乳ひゃっほぅ!!!』 『ぼくはロリの方がいいなー』 ……… ………… …………… 「変態ね」 「そうだな」 「…そうですね」 うん 変態だ 間違いなく、変態集団だ 人間を殺さないという方向性はいいが、どうしてこうなった 『一般客相手には、自然と脱げそうな水着しか剥かないが…』 『都市伝説相手とか、契約者相手なら、別にいいよね!』 『ちょっとくらい不自然でも、この街どうにかなるし!』 『……と、言う訳で』 ずるり 異形達が…水へと、帰っていく!!! 『『『『止められるものなら、止めてみろ!!!』』』』 「---っしまった!?」 相手の姿は、ほぼ水そのもの …プールの水に入られては、その姿を視認するのは、困難 止める間もなく、異形達はプールの水に入っていってしまった!! 「っく…あまりに堂々とした変態発言に、うっかり聞き入ってしまった自分が憎い…!」 「望!とにかく、プールからあがってください。恐らく、相手の能力を考えれば、水に入っていなければ効果は及びません!」 大樹の言葉にわかったわ、と頷き、プールから上がろうとする望 あの変態を警戒し、友美を掴んだままである。いつでも身代わりに出来るように と 「翼?」 ざぱ、と 代わりに、翼がプールに入っていった 「あいつらが狙うのは女だろ?俺なら平気だし、何とか相手の姿見る事ができりゃ、あんな水の体、蒸発させて……」 見る事さえできれば、翼はいつでも戦える 警戒するよう、辺りの水を見回す翼だった、が 直後 翼の周りの水の流れが、速くなって 「………へ?」 「あ、あれ」 …ぷかぷか ……翼の、水着が 思い切り、脱げて、流された 「っちょ!?」 さすがに、慌てる翼 ……ざわり 水が、人の形を作る!! 『はははははははは!!!我が同胞4人は女性狙いだが、俺は男以外に興味がなくてうぎゃあ!!??』 「やかましいっ!?死ね、この、ど変態っ!!!』 ……姿を現した、最後の変態は 姿を現したが故に、翼の「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力を食らって その熱さに悶え、慌てて水の中へと避難したのだった なお 翼の水着は 「ちゅちゅー」 「あ、ありがとな、ノロイ」 ノロイが無事回収して、翼に手渡したそうな 困った事だが、続くんぢゃ 前ページ次ページ連載 - 悪意が嘲う・悪意が消えたその後に